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2026年16号(2026/4/23)

<タックスニュース>給付付き税額控除 対象は「個人単位」  簡易型でスタートの意見

 社会保障国民会議の有識者会議はこのほど、都内で3回目の会合を開き、給付付き税額控除の支援対象などについて議論した。簡素な仕組みで早期に開始するべきとする意見が大半を占めたほか、「世帯」を単位とせず「個人」をベースに現役の所得が低い労働者を対象として支援するべきという意見でおおむね一致した。

 給付付き税額控除について、(1)支援の単位(2)支援の概要(3)支援の対象(4)金融所得や資産の扱い――の4項目の論点に沿って議論した。

 税金や社会保険料は個人単位で負担している実態に合わせ、給付付き税額控除の制度設計にあたっても「世帯単位」ではなく、「個人単位」で検討することが望ましいとの意見が多数を占めた。一方で、世帯ごとの公平性を考慮して「世帯単位」も併用するべきだとする指摘もあった。

 個人の資産や金融所得を正確に把握するための制度は、短期間で設計することが困難なことから、当初は簡素な仕組みでスタートするべきとの意見が出た。政府・与党内では、資産額などを反映しない簡易型の制度を導入するべきだという声が高まっている。また、現役世代を迅速に支援する観点から、年金など社会保障制度で支援されている高齢者を対象にする必要はないという意見も出た。

 有識者会議は本来、「社会保障」全般について議論するものだが、当面は給付付き税額控除の制度設計だけに重点を置くことになりそうだ。

<タックスワンポイント>骨とう的価値あれば  仏具も相続財産

 お墓や墓地、仏壇、仏具といった祭祀用の財産は、国民の感情や宗教観に配慮し、原則として相続税を課さないと定められている。同様に、葬儀の際に参列者から受け取る香典も、社会通念上相当と認められる範囲であれば、非課税だ。

 このルールに着目し、生前に現金を純金製の「おりん」などの高価な仏具に換えて相続財産を圧縮する節税策がある。現金で持っていれば税金がかかるが、仏具にしてしまえば無税で家族に残せるという理屈だ。

 ただし、税務署は、すべての仏具を無条件で非課税にしているわけではない。「骨とう的価値があるもの」や「投資目的で所有しているもの」は非課税特例から除外され、課税財産に算入されるという厳格な例外規定が存在するのだ。

 厳密な境界線があるわけではないが、たとえ純金製の仏具を購入しても、日常的な礼拝に使われた形跡がなければ、非課税特例の対象とする申告が否認される可能性がある。節税目的での過度な仏具購入は、税務調査で否認され、重い追徴課税を招く危険があると覚えておきたい。

2026年15号(2026/4/16)

<タックスニュース>通勤手当上積みで  労使とも負担増

 JR東日本は今春、約40年ぶりに運賃の本格的な値上げに踏み切った。全体の改定率は7.1%で、通勤定期運賃に限れば平均12.0%もの値上げとなる。日々の営業活動で支払う交通費が増え、また通勤手当を支給している中小事業者にとっては定期券代の引き上げ分が単純に負担増となるわけで、今後のキャッシュフローを圧迫することになる。さらに、従業員の手取りが減るという事態につながりかねず、しかも事業主は定期券代が上がった分を超える負担を強いられるおそれがある。社会保険制度に仕組まれたいびつな構造によるもので、小粒の減税策の箕に隠れた"ステルス増税"といえそうだ。

 通勤手当は鉄道会社に支払う実費の肩代わりに過ぎず、従業員の懐に入る"所得"とはいえない。そのため税制では、1カ月15万円までの支給であれば従業員に所得税が課税されないルールになっている。だが社会保険では取り扱いが異なる。通勤手当も基本給や残業代と同様に、保険料算定の基礎となる「報酬」に含めなくてはならない。そして社会保険制度上の報酬が増えると、保険料を決定する「標準報酬月額」の等級が上がってしまう可能性がある。

 厚生年金保険の標準報酬月額は報酬月額に応じて32等級にわかれ、報酬がその境界線上にある場合には1円の違いでも等級がかわる。今回の運賃値上げで例えば31等級から最も上の32等級へとスライドすれば、従業員は月額2745円の負担増となってしまう。事業者ごとに加入している健康保険も同様の仕組みのため、負担が大きく増えるおそれがある。通勤手当の引き上げ分は通勤定期運賃の値上げ分と相殺で従業員にとって"プラマイゼロ"のはずが、手元に残る現金が減るというわけだ。将来的に受け取る厚生年金が増えるといっても支払い分を取り戻せるとは限らず、納得できる従業員は少ないだろう。

 そのうえ、事業主が強いられる負担も増えてしまう。よく知られているとおり、社会保険料は事業主も従業員と同額を支払わなければならない労使折半の仕組みとなっているためだ。通勤定期運賃の値上がり分に社会保険料の納付の増加分が加われば、従業員規模によっては年間で数十万円~数百万円単位のコスト増となりかねない。

<タックスワンポイント>貼付と消印の手間を省く  印紙税の「税印」

 大量の契約書や領収書を発行する際、1枚ずつ収入印紙を貼り、ハンコで消印を押す作業は、経理担当者にとって大変な負担だ。単純に事務量が多いだけでなく、金券と同じである物理的な印紙の紛失リスク、押し忘れによる過怠税の恐怖もある。

 そこで、こうした事務負担やリスクを一掃する「税印」という制度がある。正式名称は「税印押なつによる納付の特例」。切手のような収入印紙を買って貼る代わりに、課税文書に課される印紙税相当額をあらかじめ現金納付したうえで、税務署に直接持ち込んで税印の押印を請求する仕組みだ。これにより、印紙を貼って消印をしたのと同じ法的な効力を持つわけだ。

 税印の最大のメリットは、印紙の購入・管理・貼付・消印という一連のアナログな作業とミスを完全になくせる点にある。一方で、大量の書類を税務署まで物理的に運び込む労力はかかる。

 ただし、税印には納付した印紙税額は表示されない。そのため、現実に文書が作成される段階にならなければ印紙税額が確定しないような文書は、税務署から税印押印の請求を棄却される。例えば、不動産譲渡に関する契約書など、印紙税額が文書の記載金額によって異なり、その記載金額が明らかでない場合、税印は使えない。

2026年14号(2026/4/9)

<タックスニュース>防衛増税4月スタート  法人税額に4%の付加税

 防衛力強化に伴う、いわゆる防衛増税が4月からスタートした。まず対象となるのは法人税とたばこ税で、来年1月からは所得税も引き上げられる見込みとなっている。政府は3税の増税で1兆円強を確保する方針。

 法人税は4月以降の事業年度から引き上げられる。法人税額から500万円を差し引いた金額に4%の付加税を課す仕組み。法人税額が500万円以下の企業は対象外となっている。

 たばこ税は、加熱式たばこの税率を4月と10月に引き上げて、紙巻きたばこの税率と同一とする。その後は来年4月から1年ごとに計3回、1本あたり0.5円ずつ引き上げる計画となっている。

 所得税の引き上げは来年1月から。所得税額に1%を上乗せするかたちで実施する方針。同時に復興特別所得税の税率を1%引き下げる。このため納税者の負担は当面増えないが、復興特別所得税の課税期間は延長されるため、長期的にみれば負担は大きくなる。

<タックスワンポイント>簡易課税制度  業種で変わるみなし仕入率

 消費税の事務負担を軽くするため、基準期間の売上高が5千万円以下の企業には、簡易課税制度が認められている。実際の仕入額を計算せず、業種ごとの「みなし仕入率」を売上に掛けて納税額を算出する便利な制度だが、この「業種区分」には落とし穴もある。

 みなし仕入率は、事業の性質によって第1種から第6種まで細かく分けられているのが特徴だ。例えば、卸売業は90%で、売上の10%にだけ消費税が課される。卸売業が最も有利で、小売業は80%、飲食業は60%、サービス業は50%、不動産業は40%と、業種によって控除できる割合が減っていくことになる。

 ここでの落とし穴が、複数事業の混同だ。例えば、飲食店(60%)の店頭で、自家製ドレッシングのテイクアウト販売(小売業:80%)を始めたとしよう。本来なら有利な80%を使える売上があるのに、レジで売上区分を分けず、どんぶり勘定で合算してしまうと、全体に最も低い仕入率(この場合60%)が適用されてしまう。手間を惜しんだばかりに、払わなくてもいい税金を国に納めることになるのだ。

 簡易課税を選ぶなら、レジや請求書の段階から「どの業種の売上か」を厳格に区分けしておきたい。

2026年13号(2026/4/2)

<タックスニュース>公示地価 5年連続プラス  全国平均2.8%上昇

 国土交通省は3月17日、今年1月1日時点の「公示地価」を発表した。住宅地や商業地などを合わせた地価全体の全国平均は前年から2.8%上昇し、2022年から5年連続でプラスとなった。公示地価は土地の取引価格の目安となるほか、固定資産税路線価の算定や公共事業用地買収時の取得価格の算定などで基準として利用される。

 住宅地、商業地、工業地を含む全用途の地価の全国平均は2.8%上昇し、前年の上昇率2.7%を上回った。東京圏は5.7%、大阪圏は3.8%上昇。名古屋圏を含む3大都市圏では4.6%上昇した。地方中枢4都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)も4.5%上昇した。しかし、名古屋圏と地方中枢4都市は前年に続き上昇率が縮小している。

 用途別にみると、住宅地の上昇率は前年と同様の2.1%。3大都市圏と地方中枢4都市ではともに3.5%上昇した。最も伸びた地点はリゾート需要が高い長野県白馬村で、上昇率は33.0%だった。住宅地は31都道府県(前年30都道府県)で上昇した。

 商業地の上昇率の全国平均は4.3%で、3大都市圏が7.8%、地方中枢4都市が6.4%だった。なかでも上昇率が高かった地点は、次世代半導体の量産化を目指す「ラピダス」の工場建設が進む北海道千歳市で、44.1%の上昇を示した。商業地は38都道府県(前年34都道府県)で上昇した。

 最高価額は住宅地、商業地ともに昨年と同地点。住宅地は「港区赤坂1丁目」が9年連続のトップで、1㎡当たりの価額は711万円(前年590万円)。商業地は「中央区銀座4丁目(山野楽器銀座本店)」が20年連続のトップで、1㎡当たりの価額は6710万円(同6050万円)だった。

<タックスワンポイント>深夜残業ホテル代の税務処理  実費精算は非課税 定額支給は給与

 深夜まで残業して終電を逃した社員に対し、会社が近くのビジネスホテルの宿泊代を負担するケースがある。原則として、社員へのホテル代の支給は、業務上の必要性から生じた宿泊であり、社会通念上妥当な金額であれば、給与として課税されることはない。

 会社の業務命令で深夜まで働き、帰宅困難になった以上、その穴埋めは「業務遂行上必要な経費」と認められるためだ。タクシーで帰宅させた場合の実費負担も、同様の扱いとなる。

 しかし気を付けたいのが、その支払い方法だ。領収書と引き換えにホテル代の実費を精算していれば問題ない。だが、「深夜宿泊手当」などとして、領収書不要で一律1万円を現金支給していたり、通常のビジネスホテルで済むところを高級ホテルに宿泊させていたりした場合、実費を超えた部分や定額支給は、使い道が自由なお金として全額「給与」に認定されかねない。

 そうなると社員は給与課税を受け、会社も源泉徴収漏れを指摘されてしまう。社員を労うつもりが、かえって双方の税負担を増やさないよう、実費精算のルールを徹底したい。

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