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2022年41号(2022/12/2)

<タックスニュース>自公両党の税制議論  インボイス対応で苦慮

 自民・公明両党の税制調査会は11月18日、それぞれ総会を開き、2023年度税制改正に向けた本格的な議論を開始した。12月中旬に与党税制改正大綱を取りまとめる。最大の焦点となるのは防衛費増額の財源としての増税だ。一方、来年10月に導入されるインボイス制度を巡って、フリーランスなど小規模事業者の税負担を軽減する策を導入する案も出ており、与党税調は検討を進める。

 消費税は商品などを販売した事業者が一定の税率に基づいて計算した額を納税することになっている。消費者は消費税分を上乗せされた価格を支払っている。インボイスは、事業者間の取引で商品やサービスにかかる消費税の額や税率を正確に把握するために発行する請求書で、消費税に軽減税率が導入され複数の税率が適用されることになったことで、事業者の納税額把握のため導入が決まった。

 来年10月の導入を巡っては、日本税理士会連合会が事務負担増の懸念から延期を求めるなど関係団体からは反発も強い。現行制度では、売上高1千万円以下の小規模事業者は消費税の納付を免除されているが、免税事業者はインボイスを発行できないことから、仕入税額控除を利用したい企業が免税事業者との取引を敬遠する動きが広がるリスクが指摘されている。

 政府・与党内に浮上している案では、免税事業者が課税事業者に切り替えた場合、納税額を売上税額の2割に抑える措置を、インボイス導入の23年10月に合わせてから3年間の時限つきで設ける。また、1万円未満の少額取引はインボイスの発行を不要とする案なども議論の俎上に上がっている。負担軽減の措置によって制度が複雑化する懸念もあるが、ある関係省庁の幹部は支持層である産業界や業界団体に対して与党議員が配慮を示そうとしている格好だと推測する。

<タックスワンポイント>相続前後の預金引き出しは“争族”の元  民法改正で単独引き出し可能に

 かつて銀行の預金口座は、本人が死去した後は原則として、遺産分割協議が整うまでは身内であっても引き出すことはできなかった。しかしそれはあくまでルール上の話であり、実際は亡くなったことが銀行に伝わらないうちにカードや通帳を使って引き出しや振り込みなどを行うことは普通に行われていた。

 そして2019年の民法改正により、現在は遺産分割前の引き出しは法的にも「シロ」とされている。現行制度では、それぞれの相続人は各自の法定相続分の一定割合を、他の相続人の同意なく単独で引き出せる。なお引出額の上限は1つの金融機関当たり1人150万円までとなっている。

 課税の面からみれば、死亡した被相続人の預貯金は相続税の対象となる財産だが、仮に死亡の直前に多額の預金が口座から引き出され、それが被相続人の生活費や医療費など、妥当な目的で使われていれば、その分は相続財産には含まれない。また、一部の相続人が被相続人の死後に葬儀費用を負担した場合にも、その分は相続税上のマイナス資産として計算することができる。

 だが相続前後の預金引き出しで問題となるのは、なによりも相続人の間での揉め事の種になることだ。相続では必ずといっていいほど家族間で争いが起きるとも言われるが、実際には同居していた長男夫婦などが家や預金の全てを相続し、葬儀も全て長男の責任で済ませ、弟妹たちには預金をいくばくかでも分けることで平和裏のうちに終わることがほとんどだ。他の親族もそれを了承しているため、莫大な資産があるか、もしくはよほど仲が悪くなければ揉めることはない。

 だが、もし相続前後の預金引き出しが後に発覚すれば、それは不要な火種となってくすぶることになりかねない。たとえ全てを承継する予定の息子であっても、多くのお金を動かすのであれば、相続人全員の了承を得て行うようにしたいところだ。

2022年40号(2022/11/24)

<タックスニュース>財政審が提言  ワクチン接種の有料化

 財務省は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、社会保障分野について、新型コロナウイルスのワクチン接種費用を全額国費で負担している現状を「特例的な措置は廃止すべきだ」とし、負担額の見直しを提言した。病床確保の支援などを含め、コロナ禍の医療提供体制への国費支出が主な事業だけで少なくとも約17兆円に達し、このままでは財政の悪化が加速するとの懸念が背景にある。

 現行の接種料金は約9600円だが、特例として無料で受けられる。財務省によると、接種回数は、2021年度は2億5700万回で、事業規模は2兆3000億円余りに上った。

 財務省は社会がコロナと共存する「ウィズコロナ」を目指し、経済再生との両立を掲げる中、ワクチン接種も正常化に向けて転換を図っていくことが必要との見解を示した。季節性インフルエンザなど他の感染症と同様に、接種希望者が費用の一部を負担する「定期接種」に移行すべきだと主張した。

 国が買い取って無料で配布してきた抗原検査キットを、民間企業を主体とする供給体制に切り替えるよう指摘。約5000億円の基金で支援してきた国内企業のワクチン開発が進んでいないことにも言及し「各企業の研究開発能力を十分チェックすべきだ」と強調した。

 また、社会保障分野では、多くの高齢者が1割負担となっている介護サービスの利用料を原則2割に引き上げたり、2割もしくは3割負担の対象者を拡大したりするべきと主張した。高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進む今後の制度の持続可能性を懸念する声が相次ぎ、介護保険の引き上げを求めた。

 増田寛也会長代理(日本郵政社長)は会合後の会見で、後期高齢者医療制度の自己負担割合の基準を念頭に、「介護も医療と同様の方向へ持っていくべきではないか」と指摘。物価高騰の状況を踏まえ、「(利用者負担の引き上げとあわせて)経過措置を働かせることもしっかり考えていく必要がある」との見解を表明した。

<タックスワンポイント>そんなのアリ? 重加算税の「抜け穴」  対象はあくまで申告書のみ

 申告漏れや無申告に対する罰則のなかで、最も重いのが「重加算税」だ。単なる計算ミスなどではなく、二重帳簿の作成や帳簿書類の破棄、隠匿、改ざんなど税逃れの意図に基づく「仮装・隠ぺい」があったと認定されると、重加算税が課される。その税率は初犯でも35~40%、重加算税の前科があれば最大50%という非常に厳しいものとなっている。

 だが最近、思いもよらない方法でこの重加算税を免れるという事例が報告された。今年10月に開催された政府税制調査会の会合では、「税に対する公平感を大きく損なうような行為」の例として、重加算税に関するケースが報告されている。

 それによれば、ある法人が法人税の確定申告書を提出後、外注費の計上漏れがあったとして更正の請求を行い、それに基づく還付金を受け取った。だが国税当局がその後調べたところ、更正の請求時に添付されていた外注費の領収書が架空であったことが判明したという。添付された領収書には印紙も貼付され、取引先の社印を偽造して使用するなど非常に巧妙な細工が施されていたらしい。

 これらの行為はれっきとした「仮装・隠ぺい」に当たるが、この法人に重加算税は適用されなかった。その理由は重加算税の賦課要件を定めた国税通則法にある。

 通則法65条では、納税者が税額計算の基礎となる事実について仮装・隠ぺいを行い、「その隠ぺいし、または仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときには(中略)重加算税を課する」と定めている。どういうことかというと、重加算税が課されるのは、あくまで仮装・隠ぺいが行われた「申告書」に限られるということだ。

 先ほどの事例でいえば、法人が提出した申告書自体には問題がなかった。その後の更正の請求において悪質な仮装を行ったのだが、税法上、更正の請求は「納税申告書」に該当しない。そのため当局としては重加算税を課せなかったわけだ。

 まさにルールの抜け穴を突いたやり口というわけで、この報告を受けた政府税調では、「脱税者への懲罰を強化すべき」、「現行の重加算税とに代わる新たな措置を」など、厳罰化や追徴課税の強化など措置の見直しを求める意見が相次いだという。

2022年39号(2022/11/17)

<タックスニュース>とにかく解決には時間がかかる!  2国間の「二重課税」

 国外への利益移転を防ぐ移転価格税制の適用などにより企業に税が二重に課されてしまったとき、両国の相互協議による解決までの期間は平均で約2年半とするデータを国税庁が発表した。相互協議の発生件数が処理件数を上回る発生超過の状態も数年続いていて、次年度に持ち越された繰越件数は年々積み上がっている状態だ。

 海外の関連会社に自社商品を通常の取引価格よりも低い価格で販売すると、課税所得はその分減少して法人税負担も少なくなる。一方、海外の関連会社からすれば日本の会社から商品を安く仕入れたことで利益が増え、自国での税負担が増える。結果、本来なら日本の会社の利益となる部分が海外に移転し、税収も海外に持って行かれてしまうことになる。こうした課税所得の海外移転を防ぐため、取引価格が一般企業同士における価格に比べて不当に安かったり高かったりすると判断された時には、そこに課税逃れの意図があったかどうかにかかわらず、一般的な価格に計算し直して、移転された利益部分に追徴課税される。これが移転価格税制の趣旨だ。

 だが企業にとっては、同税制が適用されて申告漏れの部分に日本で追徴課税がされると、海外で子会社が納め過ぎた分について二重課税の状態となってしまう。二重課税は自動的に救済されることはないため、申し立てることによって両国の税務当局による「相互協議」での解決を求めなければいけない。またこうした事態になることを事前に防ぐため、各国税局が設けている同税制専用の事前相談窓口などを利用することができるようになっている。

 国税庁が11月9日に発表した最新のデータによれば、2021事務年度(21年7月~22年6月)に発生した相互協議の件数は246件で、そのうち事前確認によるものが188件、移転価格税制が適用されたものその他が58件だった。一方で、相手国税当局との合意や納税者の申し立ての取り下げなどによって21事務年度に処理した件数は186件なので、60件の“積み残し”が生まれた。この積み残しの残高は、増加傾向にある。

 特筆すべきは、処理事案1件当たりに要する解決までの期間だ。国税庁によれば、移転価格税制その他による事案の平均処理期間は31.5カ月と、2年半に及んでいる。また事前確認をしたものについても31.6カ月と、事前チェックの意味を為していない現状が浮き彫りとなった。さらに相手国の税務当局との連携が取りづらいOECD(経済協力開発機構)非加盟国に至っては、実に平均44カ月もの時間がかかるという。

 17年には、国内製薬最大手の武田薬品工業(大阪市)が、海外の子会社に利益を移して不当に税負担を免れているとされて移転価格税制を適用された。申告漏れ額は約71億円で、同社は追徴税額28億円を納付後、ドイツですでに納税をしていることから「二重課税」だとして再調査を請求し、両国の税務当局による協議も求めた。また重機大手のIHI(東京都江東区)も16年3月期までに、海外のグループ会社との取引を巡って移転価格税制を適用され、約100億円の申告漏れを東京国税局に指摘されたケースもある。

 同税制が適用されて申告漏れの部分に日本で追徴課税がされても、海外で子会社が納め過ぎた分について自動的に救済されることはない。企業からの要請を受け両国間の相互協議によって調整が行われることもあるが、約3年に及ぶ時間と膨大な手間がかかり、資金力のない中小企業では税負担を飲み込まざるを得ない可能性も高い状況が続いている。

<タックスワンポイント>遺留分の請求は現金のみに  2019年に民法改正

 2019年7月に施行された改正民法では、約40年ぶりに相続関連法の大きな見直しが行われた。そのうちの一つが「遺留分の金銭債権化」だ。

 従来、遺産分割の内容に不満を覚えた相続人が遺留分を請求したとき、その請求の対象となっていたのは「相続財産そのもの」だった。つまり現金だけでなく、不動産や有価証券も含まれていた。

 しかしそれでは、遺産の大半を不動産が占める場合、遺留分の請求を受けた時点で共有状態となり、処分や利用に大きな制約を受けてしまう。同様に自社株などが遺留分の対象になると、全株式が共有化状態になってしまい、後継者が議決権などを自由に振るえず経営を阻害されるケースも生じていた。

 そこで改正民法では、遺産分割の結果に不満のある法定相続人が遺留分の請求をした時に、その対象を「相続財産そのもの」でなく「遺留分相当額の金銭」と規定した。これにより現在は、遺留分の請求に対しては金銭のみでしか応じられなくなっている。また同時に、それまで使われていた「遺留分減殺請求」という言葉がなくなり、「遺留分侵害額請求」という名称に改められた。

 ただ、遺留分の支払いが金銭のみになったということは、請求をされた側はまとまった額の現金を用意しなければならないことを意味する。例えば相続財産のほとんどが不動産のケースで、遺留分を請求された相続人に預金などの現金資産がほとんどない場合、どうすればいいのか。こうしたケースで考えられる対応はいくつかあり、売却できる不動産があるなら現金に換えたり、銀行からお金を借りて遺留分請求に充てたりという方法がある。

 どうしても金銭が用意できないのであれば、両者の合意のもとで従来のように金銭以外の不動産などを充てることも可能だ。だがその場合、財産を渡した側に譲渡所得税が課されてしまう点には留意したい。

2022年38号(2022/11/11)

<タックスニュース>法人所得が過去最高の79兆円  税額はピーク時の75%

 2021事務年度(21年7月~22年6月)の法人税の申告所得は79兆円を超え、過去最高を記録した。コロナ禍から2年ぶりに持ち直した前年からさらに伸び、落ち込んでいた旅館・飲食などの業種も増加に転じた。全国的に新型コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、コロナ禍からの持ち直しが数字にも表れたかたちだ。

 国税庁が10月31日に公表した最新の法人税申告事績によれば、21事務年度の法人税は申告件数が307万件で、申告所得金額は79兆4790億円だった。前年度から約9兆3千億円増加し、過去最高額となった。申告税額も13兆9232億円と伸びたものの、税額は過去最高を記録したバブル期の1989事務年度の75%程度にとどまっている。89年には本則40%だった法人税率が、第二次安倍政権下の法人減税によって23%台まで下がっていることが理由だ。

 黒字申告1件当たりの所得金額は7273万2千円で、赤字申告1件当たりの欠損金額は853万9千円だった。申告があった法人のうち、黒字割合は35.7%で、前年比で落ち込んでいた前年から立ち直っている。

<タックスワンポイント>小規模企業共済を法人化で解約すると受け取れる額は?  解約手当金より有利な準共済金をゲット

 小規模企業共済は国が作った退職金制度で、毎月掛け金を払い込み、事業をやめた時などに共済金を受け取れる制度だ。小規模事業者を対象とした共済であるため、加入できる事業の規模は一定以下に限られ、建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業であれば従業員20人以下、卸売業・小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業除く)であれば5人以下の事業者が対象となっている。

 何かがあった時に受け取れるお金は、その理由によって「共済金A」、「共済金B」、「準共済金」、「解約手当金」に分かれ、共済金Aが最も多く、解約手当金が最も少ない。例えば個人事業主であれば、廃業や契約者死亡が「共済金A」に当たり、65歳以上で180カ月以上掛け金を払い込んだ人がもらえる老齢給付が「共済金B」に当たる。

 では、ある事業者が同共済に個人事業者として加入したが、その後に業績が順調に伸びたため法人化したケースはどうなるか。法人化によって共済の加入条件を満たせなくなったので解約せざるを得ないが、その時受け取れるのは最も少ない「解約手当金」なのか。

 こうしたケースでは、契約者が受け取れるのは「解約手当金」ではなく「準共済金」だ。法人成りした結果として加入要件を満たせなくなったのはやむを得ないため、制度上も救済措置が設けられているわけだ。逆に法人成りをした場合でも、加入資格をなくしていなければ、解約時には最も金額の低い「解約手当金」の対象になってしまう。そのほか、任意解約や掛金の滞納などによって解約に至った場合も「解約手当金」に該当する。

 準共済金以上では、給付される金額は基本的に掛金を下回ることはないが、解約手当金は加入期間が20年未満だと元本割れしてしまうので気を付けたい。また掛金の払い込みから1年経たずに解約をすると、そもそも手当金を受け取れない。

 小規模企業共済の掛金は全額を所得控除でき、共済金も受け取り方によって「退職所得」や「公的年金等の雑所得」として税優遇を受けられるので、対象に含まれているならぜひ加入を検討したい。

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