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2024年8号(2024/2/22)

<タックスニュース>少子化対策「支援金」負担額  初年度は月300円弱

 少子化対策のために新たに導入される「支援金制度」の負担額について、加入者1人当たり月平均で2026年度は300円弱、27年度は400円弱になるという試算が明らかになった。政府は段階的に徴収する予定で、28年度は月平均500円弱と見込む。

 支援金制度は少子化対策の財源として、公的医療保険と併せて徴収する。初年度の26年度は6000億円、27年度は8000億円、28年度に1兆円を徴収する計画。政府はこれまで、加入者1人当たりの拠出額は、28年度に月平均で500円弱になるとの試算を示していた。ただし、所得や加入する医療保険によって負担額は変わり得る。低所得者や子育て世帯に対しては軽減措置も検討されている。

 少子化対策では3兆6000億円の財源が必要になる。政府は、徹底した歳出改革と既定予算の最大限の活用によって、財源の7割以上にあたる約2兆6000億円を捻出できると計算。残る1兆円を支援金制度として、国民や企業から徴収する。支援金制度が始まるまでは、つなぎ国債を発行して確保する。

 医療や介護などの歳出改革と賃上げを実施し、保険料などの負担を抑制して支援金制度を構築するため、政府は「実質的な負担は生じさせない」と強調してきた。岸田文雄首相は国会で「25年度以降は賃上げがないとしても、実質的に負担がない状況を実現する」と答弁。官邸幹部は「基本は歳出改革で、賃上げ効果がゼロになっても成立する支援金制度になっている」と話す。

 ただし制度をめぐっては与党内からも「分かりにくく、まだ説明が尽くされていない」との指摘がある。特に、支援対象でありながら一定の負担が懸念される子育て世帯への対応を中心に、丁寧な説明が求められている。

<タックスワンポイント>相続前後の預金引き出しは“争族”の元  民法改正で単独引き出し可能に

 2019年の民法改正で、相続人は各自の法定相続分の一定割合を、他の相続人の同意なく故人の銀行口座から単独で引き出せるようになった。引出額の上限は1つの金融機関当たり1人150万円までだ。

 税法上、死亡した被相続人の預貯金は相続税の対象となる財産だが、死亡の直前に多額の預金が口座から引き出され、それが被相続人の生活費や医療費など妥当な目的で使われていれば、その分は相続財産には含まれない。また一部の相続人が被相続人の死後に葬儀費用を負担した場合にも、その分は相続税上のマイナス資産として計算することができる。

 だが相続前後の預金引き出しで問題となるのは、なによりも相続人の間での、もめ事の種になることだ。相続では必ずといっていいほど家族間で争いが起きるとも言われるが、実際には同居していた長男夫婦などが家や預金の全てを相続し、葬儀も全て長男の責任で済ませ、弟妹たちには預金をいくばくかでも分けることで平和裏に終わることがほとんどだ。他の親族もそれを了承しているため、よほど資産家であるか、もしくはよほど仲が悪くなければ、もめることはない。

 だが、もし相続前後の預金引き出しが後に発覚すれば、それは火種となってくすぶることになりかねない。たとえ全てを承継する予定の長男であっても、多くのお金を動かすのであれば、相続人全員の了承を得て行うようにしたいところだ。

2024年7号(2024/2/15)

<タックスニュース>「外貨建て保険」販売過熱  元本割れリスクに警鐘も

 海外金利の上昇にともない円安が定着しつつある中、銀行窓口での「外貨建て保険」の販売が過熱している。保険機能と外貨での資産運用の両面をもつ一方、元本割れのリスクも相対的に高く、金融庁も警戒を強めつつある。

 外貨建て保険は顧客が支払った保険料を米ドルやユーロなどの外貨にしたうえで、欧米の債券などで運用する保険商品のことだ。通常の円建ての生命保険と同様、死亡時や病気により障害が残ったときなどに保険金が支払われる。

 2022年春以降に欧米の中央銀行でインフレ抑制のための金利の引き上げが進んだ一方、日本では日銀がいまだに金利を低く抑えたままだ。その結果、日本の円よりも金利の高い外貨で資産を運用した方が、利益が大きくなる傾向がある。実際、保険会社が顧客に約束する利回りは、円建て保険では1%程度だが、外貨建て保険の中では4%台の商品も珍しくない。超低金利下で本業の貸出で稼ぎづらい状況が続く銀行にとって、通常より高い手数料が得られる外貨建て保険は「渡りに船」の存在だ。金融庁によると、銀行窓口での販売額は22年度上期で1.2兆円と21年度下期の1.7倍に急増した。

 一方でリスクもある。保険の契約時から大きく円高に振れた場合、円で受け取れる保険金が減ってしまい、払い込んだ保険料を下回る元本割れに陥る。また、金利の動向によっては途中解約時の払戻金が減ってしまう契約もある。ある金融庁幹部は「退職金などを元本にした投資初心者の高齢者らは注意が必要」と語る。

 実際、販売窓口などには毎年1000件以上の苦情が寄せられている。銀行界では昨年、「仕組み債」と呼ばれる高リスク商品の不適切な販売で、千葉銀などが行政処分を受けたばかりだ。顧客への丁寧な説明よりも自社のノルマを優先する文化を見過ごせば、大きな不祥事にもつながりかねない。

<タックスワンポイント>補助金受給時に圧縮記帳で課税を回避  一時的な繰り延べは将来を見据えて利用

 補助金や火災保険金などを受けて固定資産を購入した際に、その購入価額から補助金の額を控除して購入価額とすることを「圧縮記帳」という。これにより補助金の益金の額が圧縮損の損金の額と相殺され、補助金分の課税負担が低くなる。

 補助金であっても税金を課すのが原則ではあるが、補助金は益金の額に算入されても、購入した固定資産は損金の額に計上されない。「収益増えて費用ゼロ」となれば、益金の額はほぼ法人税課税の対象となり補助金の効果が低下してしまう。そこで「圧縮記帳」という特例を設け、補助金への課税を一時的に回避して繰り延べることで、企業としてはきちんと補助金を設備投資に生かすことができるわけだ。

 ただし補助金ならば何でも圧縮記帳の対象になるわけではない。法人税法では圧縮記帳の対象となる補助金は国や自治体からのもので、受け取る法人は当該事業年度の固定資産取得などに使ったことなどの条件を限定している。また一般的に補助金というと「金銭」をイメージするが、金銭の代わりに固定資産そのものが国などから給付された場合も圧縮記帳の対象となる。

 なお圧縮記帳は課税を繰り延べるための会計処理であり、その年度の税負担を軽減する効果を持つものの、次年度以降に送っているに過ぎず、免税制度ではない点はよく覚えておきたい。つまり翌年以降は圧縮記帳分だけ課税が重くなるということだ。

 この繰り延べが表面化するのは、翌期以後の減価償却費計上時と資産の除却・売却時だろう。圧縮記帳をするということは、すなわち固定資産の取得価額を小さくすることを意味する。取得価額が減額されれば、その分減価償却額は小さくなり、将来の売却益や除却益は大きくなる。これらはすべて法人税などの増加に反映される。圧縮記帳は一時の節税にはなるものの、将来の節税を犠牲にするという側面を持つことに留意したい。さらに圧縮記帳は事務や経理の処理が複雑で面倒であることも踏まえ、補助金を受け取ったときは圧縮記帳を利用するか、慎重に検討したほうがよい。

2024年6号(2024/2/8)

<タックスニュース>自民党“裏金”問題  野党側は「脱税」を指摘

 元日の能登半島地震を受け、被災地支援策の議論が急がれるが、国会は自民党派閥を巡るパーティー券問題で紛糾している。ノルマを超えた売り上げの還流分が4000万円超の議員のみが立件される軟着陸となったためだ。野党はこの「裏金」を受けた議員と受領額リストの提示を求めたほか、「脱税だ」と攻勢を強める。税制上問題はないのか。

 国税庁によると、個人が受け取った政治資金は「雑所得」に当たり、最大55%の所得税・住民税が課される。岸田文雄首相は1月29日、衆院予算委の集中審議で「雑所得の収入として取り扱われ、そして収入額からの必要経費を控除した後、残額がない場合には、課税関係は生じない」と説明した。

 雑所得は不動産の売却益やサラリーマンの副業収入など他の所得に当たらない所得を指す。政治資金パーティーは利益率が約9割に達することもあり、必要経費は、場代や人件費、飲食料品などに限られ、課税所得が残らなければ開催する意味がない。

 本来は、雑所得を得るための必要経費を差し引いた残額に課税される。しかし、鈴木俊一財務相は昨年12月の参院予算委で「政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象となる」と答弁。通常の必要経費に加えて、他の政治活動に使った費用を差し引くことができ、政治資金の特別扱いを認めたことになる。

 東京地検特捜部が立件したのは、還流分を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反(虚偽記載)だった。報告書に記載されるのは、政治団体間の政治資金のやりとり。複数の税法の専門家は、今回の還流分は「政治資金ではない」とし、議員個人が修正申告する必要があると指摘する。

 政治団体間の寄付は現行法上、法人税が非課税となり、報告書を修正すれば「おとがめなし」となる。自民党安倍派の事務総長経験者ら幹部7人は修正申告し、1月26日に不起訴となった。岸田派も約2500万円の不記載があったが、立件されたのは元会計責任者のみ。不記載のあった派閥は相次いで報告書を訂正。岸田首相は岸田派から「事務的なミスの積み重ねが原因」と報告を受けたと自身の責任を棚上げにした。

 「収支報告書の訂正で、自民党の政治家が脱税しようとしている」。立憲民主党の小西洋之参院議員は1月29日の予算委で、岸田首相にこう詰め寄った。岸田首相は、報告書不記載の責任が会計責任者のみに問われないよう 「連座制の導入」に触れた。公明党が提案する政策活動費の使途公開の義務化も必要だ。

 税金が原資の政治資金は、国民が納得できるようにさらなる透明化が求められている。

<タックスワンポイント>確定申告での雑損控除のポイント  「原状回復」って具体的にどんなこと?

 自然災害により被害を受けた人は、確定申告の際に「雑損控除」を適用することで損害分を所得から差し引くことができる。雑損控除は、自然災害で住宅や家財に損害を受けた時に、本人または生計を一にする親族を対象として、「損害額から保険金や損害賠償金を差し引いた金額-所得の10分の1」か「損害額のうち、被災後の取り壊しや土砂除去などにかかった費用-5万円」のうち、多いほうの金額を差し引けるものだ。

 控除の対象となる金額は、地震で壊れた家財や、水害で流出してしまった現金というような直接的な被害だけではない。壊れてしまった家屋の再建費、泥の除去費用、ガレージの修繕など、災害に遭う前の状態に戻すための費用も幅広く含まれている。雑損控除の適用を受けるためには、確定申告書に被害額などを記載し、併せて災害のための支出を証明する領収書などを添付すればよい。

 注意点として、壊れた家をせっかく修理するのだからと元の状態より良いものにアップグレードしてしまうと、その部分については雑損控除の対象とはならないことだ。国税庁のQ&Aでは、「被害を受けた住宅等について行う原状回復のための修繕費用は雑損控除の対象となります」とする一方で、「被災直前よりその資産の価値を高め、その耐久性を増すための支出と認められる部分については、雑損控除の対象となる損失の金額には含まれません」と答えている。

 これは会社の税務申告でもたびたび判断に悩む、修繕費と資本的支出の話と本質は同じだ。ただし会社の場合、資本的支出とみなされた部分についても長年にわたって損金算入していくことが可能だが、個人は事業者でない限り減価償却の仕組みはないため、何の税制上の措置も受けられない。今後生活していくために必要ならいいが、「どうせ雑損控除で税金が戻ってくるだろう」などと思いこんで高価なリフォーム工事を実行してしまうといらぬ出費になる可能性がある。

 なお結果的に資産価値を高める工事をしたとしても、そのなかに原状回復部分が含まれていることもあるだろう。このように原状回復部分と資産価値を高める部分の区分が難しい時には、その工事費用の総額のうち3割を原状回復、7割を資産価値を高める部分として申告することが認められている。

2024年5号(2024/2/1)

<タックスニュース>ビル・ゲイツ氏「最も裕福な我々に課税を」  「富裕税」導入を提言

 マイクロソフト社の共同創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏が、世界経済フォーラムで富裕層への増税を訴えた。ゲイツ氏はこれまでもたびたび富裕層がより税負担を課されるべきと主張してきたが、「現在に至るまで増税が進んでいないことに驚いている」と述べ、不平等の是正に自身を含む富裕層の財産が使われることを望んだ。

 1月19日までにスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでのパネルディスカッションで、ゲイツ氏は富裕層への課税および、先進国から発展途上国への寄付金の増額を提案した。「国であれ企業であれ個人であれ、最も多くの財産を持っている人々はもっと寛大になるべきだ」と述べた。ゲイツ氏によれば250人以上の超富裕層が賛同し、世界の指導者たちに向けた富裕税を課すように求める公開書簡に署名したという。書簡では、「富裕層に課税したとしても、彼らの子どもたちから財産を奪うことにはならないし、彼らの生活水準を根本的に変える」こともないとも記されているという。

 ゲイツ氏が“富裕税”を提言するのは、今回が初めてではない。2018年には、当時の米トランプ政権が作成した税制改革案について、「中間層や低所得者層に比べて経済的に恵まれている人のほうが劇的に多くの恩恵を受ける」と批判し、「私は他の誰よりも多い額を米国政府にこれまで納税してきた。だが政府は私のような立場にいる人々に対し、さらに高額な税金を課すべきだ」と語ったことがある。

 ゲイツ氏は慈善事業家としても知られ、22年には慈善基金団体に約2.7兆円を寄付した。元妻のメリンダ氏と合わせた生涯寄付額は7.4兆円を超え、著名投資家のウォーレン・バフェット氏を超えて史上最大の“慈善家”となっている。

 国際NGOのオックスファムの調べによれば、コロナ禍の約2年間で世界の99%の人が収入を減らした一方で、世界で最も裕福な10人の資産は倍増したという。

<タックスワンポイント>詐欺の被害は税金では救済されず  確定申告期に“ニセ国税”が多発

 毎年、確定申告の時期に増えるのが、税務署員を装って現金自動預払機(ATM)に現金を振り込ませる「振り込め詐欺」だ。言うまでもなく、国税局や税務署が金融機関の口座を指定した上で税金の振り込みや還付金の支払いのためにATMの操作を求めることは絶対にないが、近年では現金を直接狙うだけでなく、勤務先や取引銀行の情報を問い合わせる事例、未公開株や社債の取り引きに関連して銀行の口座情報を聞き出そうとする例など、さまざまな被害が報告されている。

 また電話だけでなくメールによる詐欺も増えているほか、振り込め詐欺の手口は複数人がそれぞれ税務署、警察、金融機関を装うなど巧妙さを増していて、見抜くのがますます難しくなっているという。「自分だけは大丈夫」などと自信を持たず、何事も疑ってかかる心構えが求められていると言えるだろう。

 覚えておきたい知識として、本物の税務職員が税務調査や滞納整理を行う時には、必ず顔写真のある身分証明書を携帯している。少しでも怪しいと思ったときには身分証明書の提示や、税務署への直接問い合わせによる確認をすべきだ。仮に本当に税務署からの連絡であったとしても、一度「顧問税理士に相談して折り返し連絡します」と答える習慣をつけておくことも、詐欺被害の防止には役立つはずだ。

 もちろん振り込め詐欺の手口は税務署を名乗るものだけではない。過去にあった事例では、長男を名乗る電話で「確定申告があって税務署に3千万円払わなければいけない」、「頭金が今日中に必要」などと伝えられた女性が、自宅まできた男に現金150万円を渡してしまったという。

 詐欺ばかりは、いかに税理士が有能であろうとも、納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできない。また詐欺の被害は盗難などと異なり、雑損控除などの税の救済手段も適用されない。詐欺に引っ掛かったのは本人のミスだからという容赦のない理由だ。

 詐欺の手法は年々新しく、また高度化しているため、重ねて言うが「自分だけは大丈夫」と思い込まず、不審な点がなくても必ず家族や顧問税理士、あるいは警察などに確認することを心掛けたい。

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