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2026年34号(2026/9/10)

<タックスニュース>相続土地国庫帰属制度  "帰属率"51%、初の5割超に

 法務省が公表した7月31日現在の「相続土地国庫帰属制度の運用状況」によると、2023年4月27日の制度開始からの累計申請件数は5863件で、このうち国に帰属された件数は3008件だった。帰属件数は制度開始から3年3カ月で3千件を突破。申請件数に占める帰属件数の割合、いわゆる"帰属率"は51%で初の5割超となった。

 23年度の申請件数は制度開始から約11カ月間で1905件、2年目の24年度は年間1675件、3年目となる25年度は同1672件。申請件数はほぼ横ばいで、制度の利用は思いのほか進んでいなかった。しかし、26年度は4カ月間で611件となっており、このままのペースで推移すると仮定した場合、年間で約1800件となる見通し。

 国に帰属された件数は26年3月末時点で2605件。25年3月末時点までの累計が1486件だったことから、25年度の1年間で1119件増えた。26年度は4カ月で403件増えており、このままのペースで推移すれば1年間で約1200件の増加が見込めるものと推計できる。

 累計申請件数5863件を地目別の内訳でみると、「田・畑」が2278件で全体の39%を占めている。「宅地」は2040件で35%、「山林」は893件で15%、「その他」は652件で11%だった。国に帰属された件数3008件を種目別の内訳でみると、「宅地」が1115件で全体の37%を占めている。「農用地」は964件で32%、「森林」は199件で7%、「その他」は730件で24%だった。

 申請が却下された件数は85件、不承認となった件数は96件、申請を取り下げた件数は1102件だった。

 申請件数が思いのほか伸びていない理由としては、申請時の必要書類が多いこと、引き取り要件が多岐にわたることなどが挙げられる。申請の際には一筆当たり1万4千円の審査手数料が必要で、申請を取り下げた場合でも返還されず、再申請のたびに費用がかかる。国に帰属されたケースでも10年分の土地管理費相当額の負担金が必要になる。また、審査に時間がかかることも申請件数が伸びない要因だとされている。申請を受理する各地の法務局では審査に要する標準的な期間を「約8カ月」としている。


<タックスワンポイント>税務調査が激化? 「KSK2」が9月稼働

 9月24日、国税庁の心臓部ともいえる巨大システムが刷新され、「次期国税総合管理システム」、いわゆる「KSK2」が稼働する。

 そもそもKSKとは、全国の国税局や税務署をネットワークで結び、申告や納税の実績、企業間の取引状況といったあらゆる納税者情報を一元管理するシステムのことだ。なぜ巨大システムを刷新する必要があったのかというと、最大の理由は、旧KSKが典型的なレガシーシステム(老朽化した複雑なシステム)に陥っていたからだ。

 KSKは1990年代後半から段階的に導入されたもので、独自のメインフレームを採用したことなどから維持管理コストが膨大になっただけでなく、税制改正への迅速なシステム対応が難しくなるなど、行政のデジタル化の大きな足かせとなっていたという。

 今回導入するKSK2では、最新のクラウド技術などを取り入れ、システムの柔軟性と複数の税目を横断するデータ連携が飛躍的に向上するとみられている。これが中小企業にとって何を意味するかといえば、税務当局による情報収集・分析能力のさらなる高度化にほかならない。あくまでKSK2の目的は、国税当局の内部事務の効率化ではあるものの、各種デジタルデータとの突合やAIを活用した分析がよりスムーズになれば、これまではマンパワーの限界で見逃されていたような不自然な経理処理や申告漏れも、あぶり出されるようになる可能性は決して低くない。中長期的に、税務調査のデータ分析がより精密になっていくと心得ておきたい。

2026年33号(2026/9/3)

<タックスニュース>非上場株式評価の見直し  国税庁「残余利益方式」を提案

 国税庁はこのほど、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の5回目の会合を開き、一般の評価会社に対する株式の評価方法を企業の簿価純資産と当期純利益から算出する「残余利益方式」に見直すとする事務局案を示した。これまでの「類似業種比準方式」は使わず、「純資産価額方式」は特定の評価会社に限って適用する。「残余利益方式」を適用することにより、低収益の中小・零細企業は従来の評価方法よりも税負担が減るとしている。

 国税庁が「残余利益方式」を事務局案として示した。企業の直前期末の純資産に今後5年間で見込まれる収益力を考慮し、一定の条件で出した係数を掛けて算出する。従来の評価方法より簡便になるという。収益力は、還元率を用いて算定するとしている。利益と配当がない会社の株式評価額は還元率が高くなるにつれて低下することになり、高収益企業には相応の税負担が発生する一方、赤字または低収益の企業は税負担が減る見通しだとしている。還元率は国税当局が定期的に更新して公表することを想定している。

 国税当局によると、見直しの方向性について、多くの委員の賛同を得られた一方、明確に反対する委員が1人いたという。委員からは「企業のROE(自己資本利益率)が高い状態が何年続くかを分析すると、長くても10年は続かないので、(収益力の見込みは)5年ぐらいでいいのではないか」「実務上、納税者が計算できる妥当な方法」との意見があった一方、「中小企業に対して上場企業と同等の還元率を用いることや、一律の還元率を用いることについて、理論的、実証的な裏付けが本当にあるのか」といった反対意見もあったという。

 この日は日本商工会議所の阿部貴明特別顧問・税制委員長と玉越賢治税制専門委員会学識委員の2委員が連名で意見書を提出した。意見書は、新方式を検討するに際しての確認事項として「問題となっている制度部分や租税回避行為への限定的な見直しが優先されているが、評価体系全体の変更とは分けて検討すべき」と主張。残余利益方式の問題点としては、「地域を支える中核的な中小企業の評価額が大幅に上昇する可能性がある」と指摘したうえで、「中小企業の事業承継のハードルを永続的に上げていくことを意味する。現在、株式評価が課題とならない小規模な企業においても、新方式の下では、今後、相続税負担の問題に直面することになりかねない。一部の課税逃れ対策のために、多くの中小企業の事業承継が崩壊するのではないかと強く懸念する」と強調した。

 国税庁は今秋をめどに27年度税制改正に向けた案をまとめる方針。27年度税制改正大綱で見直しの方針が示されれば、評価通達の改正を経て28年1月から新ルールが適用される可能性がある。

<タックスワンポイント>赤字でも税務調査はやってくる  棚卸資産、領収書…念入りに調査

 税務調査のターゲットといえば、儲かっている黒字の会社が狙われやすいというイメージがある。もちろんそれも事実なのだが、だからといって赤字法人に税務調査が入らないということはない。税務署は、業界などの動向を調べたうえで、準備調査の段階から決算書や資料を詳細に把握し、経理処理のミスを指摘したり、場合によっては隠れた黒字を発見したりする。

 例えば、消耗品に棚卸資産とするべき貯蔵品がないか、雑費でも役員の個人負担とするべきものが含まれていないかなどに税務調査官は目を光らせている。旅費については、旅費規程を詳細に確認し、規定通りに支出と記帳が行われているかどうかを調べる。また領収書では、手書きのものや宛名が「上様」となっているもの、高額な金額が記載されているものについて特に念入りに裏取りする。給与についても、給与額を社員から直接聴取し、記帳してある金額との突き合わせを行う。

 税務調査では、経理処理や記帳内容をつぶさに確認する作業が進められ、処理のミスや取り扱いの勘違いなどがあぶり出されていく。赤字法人であっても調査対策はぬかりなく行っておきたい。

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