財務省は4月21日、いわゆる“年収の壁”の引き上げに伴う税制改正について、同省のホームページに「基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設」と題する説明文と解説のための図表を掲載した。今国会で税制改正関連法が成立したのは3月31日。同法は同日施行され、4月1日に公布されている。
「基礎控除等の引上げ」については、基礎控除が48万円から10万円引き上げられて58万円に、給与所得控除の最低保証額が55万円から10万円引き上げられて65万円に、これの合計額である課税最低限は103万円から123万円に引き上げられると解説。
「基礎控除の上乗せ特例の創設」については、生活保護基準や最低賃金の水準などを勘案して、課税最低限を160万円に引き上げることと、中所得者層を含めた税負担の軽減を行うことなどを説明している。
永年勤続者への表彰は旅行や観劇などへの招待や記念品の贈呈が一般的だが、中には現金で支給している企業もある。ただ、覚えておきたいのは、一定の線を超えると、現金で支給した場合は原則として税務上「給与」と判断され、当の役員や従業員に所得税が課税されてしまうことだ。
現金を支給しても会社の福利厚生費として損金算入でき、役員や従業員に所得税が課税されない条件は、享受する利益の額が、その役員または従業員の勤続期間などに照らし、「社会通念上相当」と認められることと、さらに表彰がおおむね10年以上勤務した人で、2回以上表彰を受ける人については約5年以上の間隔をおいて行われるものであることだ。社員への感謝の気持ちとはいえ、大盤振る舞いには注意が必要だ。
給与として扱われた支給品は、会社がその物品に対して源泉徴収の義務を負うことになる。支給を受けた者も、給与所得が増えるため、所得税や住民税を増額して追納しなければならない。なお、社長賞やMVPなどの賞金は、原則としてすべて給与課税の対象となる。