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2025年39号(2025/10/23)

<タックスニュース>総務省 EV・FCVへの自動車税  検討会が意見書「重量に応じた課税」

 総務省の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長=地方財政審議会会長)は10月上旬に開いた会合で、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の自動車税(種別割)について、「重量に応じた課税」をするべきとの案を示した。11月中に提出する報告書に意見を盛り込み、与党税調が年内に取りまとめる税制改正大綱に反映させる方針だが、経済産業省などは反発している。

 会合では「保有段階における課税のあり方の方向性」として、総排気量を有しないEV車などの取り扱いについて、「EVの普及が進み1千万円を超える高級EVの車種が増加する一方で、種別割の税率が一律で最低税率とされていることは、課税趣旨に沿わず、税負担の公平性の観点からも問題があることから、早急な是正が必要ではないか」と指摘。FCV車についても、「総排気量に代わる課税の基準を定める必要があるが、その際、(1)課税趣旨を踏まえ、新車価格(財産的価値)・車両重量(道路損傷性)と一定の相関を有すること (2)国土交通省が定める車検証の記載事項に含まれており、その客観的な測定方法が明確に定められていること――などの条件を満たすことが必要」としたうえで、「『定格出力』『車両重量』などが候補となりうるが、早期の是正が必要であることを踏まえ、国土交通省においてすでに測定方法が明確に定められている『車両重量』をEV・FCVに係る新たな課税の基準としてはどうか」との指摘がなされた。

<タックスワンポイント>当せん金や生活保護は非課税所得  税法以外の根拠法を持つ所得

 所得税は原則として個人の所得すべてを課税の対象としているが、その所得の性質や社会政策上の観点から課税対象から除かれている「非課税所得」もある。

 非課税所得には例えば、出張や転勤を目的にサラリーマンが受け取る旅費、通勤手当、納税準備預金の利子などがあり、基本的に所得税法もしくは租税特別措置法において課税されないことが定められている。

しかし税法には規定されず、別の法令で非課税であることが規定されている所得もある。

 例えば宝くじの当せん金は「当せん金附証票法」に、スポーツ振興投票券の払戻金は「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」に「所得税を課さない」と記されている。また、生活保護法で支給を受ける金品や、雇用保険の失業等給付はそれぞれの法律で「租税その他の公課は課されない」と定められている。

2025年38号(2025/10/17)

<タックスニュース>東京都が21年間分の消費税を未納  税理士法人の指摘後も放置した疑い

 インボイス制度への対応に伴い、今年5月に東京国税局からの照会を受けて、東京都が都営住宅の家賃収入などを出納管理する「都営住宅等事業会計」について確認したところ、2022年度以前の21年間分の消費税が未納になっていたことが分かった問題で、都は国税局の照会よりも前の24年時点で税理士法人から過去の納税義務についても確認が必要との指摘を受けていたことが明らかになった。10月2日、都議会定例会での一般質問に対する都側の答弁で判明したもの。

 東京都はこのほど、「東京都都営住宅等事業会計(特別会計)における消費税の未申告について」とする告示で、「未納となっている消費税について申告・納付しましたのでお知らせします」としたうえで、「消費税法上、課税売上高が1千万円を上回る特別会計は、原則、消費税を申告し納税する義務が生じます。東京都都営住宅等事業会計については、インボイス制度への対応に伴い、23年度事業分から申告・納税を行っていますが、25年5月に東京国税局より22年度以前の事業分について照会を受け確認したところ、消費税の申告・納税義務があることが分かりました」と経緯を説明。都の対応については「未申告判明後、納税額等の算定を行った結果、対象となる19年度から22年度分までの約1億3642万円(消費税約1億1965万円、延滞税約1079万円、無申告加算税約598万円)を税務署に納付しました」と報告。国税局から照会を受けるよりも前の24年の時点で、都が業務委託している税理士法人から「過去の納税義務についても確認が必要」との指摘を受けていたことについては触れておらず、「対象となる19年度から22年度分まで」の4カ年度分だけを納税したと発表していた。実際には、02年度から22年度分までの21カ年度分が未納になっていた。

 都議会定例会の一般質問で、公認会計士の資格を有する佐藤沙織里都議(千代田区選出、無所属)らが指摘した。都はこれまで、今年5月に東京国税局からの照会を受けたことで未納を把握したと説明しており、24年に税理士法人が指摘した後もこの問題を放置していた疑いが新たに浮上した。

 佐藤都議は「24年に都はデロイトトーマツ税理士法人から指摘を受けていた」と指摘したうえで、都側に「なぜこの時点で都は期限後申告をしなかったのか」と質問。「国税局から照会を受けるまで放置していたことは都の重過失である」と指弾し、都側の認識を質した。

 この質問に対し、山崎弘人住宅政策本部長は「都営住宅等事業会計の23年度分の消費税の申告・納付の業務委託のなかで、税理士法人から22年度以前の納税義務についても確認が必要であるとの指摘があったことを確認しています」と答弁。佐藤智秀総務局長も「税理士法人から指摘があったことについてはすでに把握しており、これをどのように受け止めたのか、なぜ申告がなされなかったのかなどの事実関係を監察におきまして明らかにしてまいります」と答弁し、都が遅くとも24年中には消費税の未納を認識していた事実を認めた。

 都営住宅等事業会計が一般会計から特別会計に移行した02年度以降、都には消費税の納付義務が生じていた。都は19年度~22年度の4カ年度分については納付したが、18年度以前の17カ年度分については「時効のため納付義務が消失した」としている。

 小池百合子都知事は10月3日の会見で「今回の対応の遅れについては、改めて極めて遺憾だと思う。経緯なども含めて監察で徹底した原因究明を行うよう指示していく」と述べた。

<タックスワンポイント>奨学金の返済 親が負担すると贈与税の対象  教育資金ともいえるが税務上は債務肩代わり

 奨学金の返済に苦しんでいる大学生の息子に代わり、自分が一括返済してやろうと考えた。ほかの学業に関する費用と同様に、扶養義務者である自分が子の奨学金を肩代わりしても贈与税がかからないと考えてしまいそうだが、それは誤りだ。

 親子や夫婦などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産は原則として、通常必要と認められるものであれば贈与税がかからない。しかし奨学金は教育のためのお金ではあるものの、子ども名義で借りるため、親が一括返済する場合は「子の債務の肩代わり」とみなされるためだ。

 これを回避する方法は2つある。1つ目は、本当に子に資力がなくて奨学金の返済ができないケース。国税庁の定めたルールでは、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」に限り、扶養義務者が返済を肩代わりしても贈与税を課さないとしている。ただし「返済が困難」というのは毎月の生活費が苦しい程度ではなく、本当に返済が不可能なケースに限られるので、税務署に認めてもらうハードルは高い。

 もう1つの方法が、肩代わりする額をほかの贈与分を含めても年間110万円までに抑えるやり方だ。贈与税のルールでは年間110万円までは非課税となるため、この範囲内に肩代わり額を抑えることで税金を免れることができる。

2025年37号(2025/10/9)

<タックスニュース>国税庁「マイナンバーカード方式」を推奨  e-Taxの「ID・パスワード」新規発行停止

 国税庁は9月25日、e-Taxを利用して申告する納税者に付与していた「ID・パスワード」の新規発行を停止すると告示した。マイナンバーカードによるe-Taxの利用を促進する観点から10月1日以降、新たにe-Taxで申告する納税者には「マイナンバーカード方式」を案内することとし、「ID・パスワード方式」で使用するID・パスワードについては新規発行を停止することとした。

 同庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」から、e-Taxを利用して税務申告する際の主な方法としては、(1)マイナンバーカード等を利用した「マイナンバーカード方式」(2)税務署が本人確認を行ったうえで発行するIDとパスワードを利用した「ID・パスワード方式」――がある。ID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応として運用してきたものだが、マイナンバーカードの保有率が約8割に達し「マイナンバーカード方式」を利用する納税者が増加している状況から、10月1日以降は新規の発行を停止することとした。

 政府が6月13日に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、「マイナポータルとe-Taxの連携をさらに充実させ、『書かない確定申告』の実現を図るべく、その前提となるマイナンバーカードを用いたe-Taxの推進のため、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的なe-Tax促進策である『ID・パスワードによる申告』について、その廃止を含めた在り方を検討し、2025年度中に結論を得る」こととされていた。

 ただし、現在すでに「ID・パスワード方式」の届出をしている納税者は、今後も引き続き「ID・パスワード方式」を利用できる。なお同庁では、「今後の『ID・パスワード方式』に関する対応については改めてご案内することを予定しています」としている。

<タックスワンポイント>海外資産の贈与 税金と為替の関係  円高のタイミングが財産の渡しどき

 国外財産の贈与を受け、日本で贈与税を申告する場合、その財産を円に換算して課税額を計算する。円安の時期は国外の通貨の評価が高くなるので、税金面から考えればそのタイミングで贈与を受けるのは賢明とはいえない。

 例えば500万ドルの別荘を贈与されるとして、1ドル120円なら6億円で評価されるところ、円安で1ドル140円のときに贈与されれば7億円になってしまう。逆に円高で1ドル100円なら5億円と、大きな差が出ることになる。「海外資産の贈与は円高の時に行え」との考え方を覚えておきたい。為替変動の激しい時代だけに、資産形成に大きな影響を与えるだろう。

 ちなみに海外資産の円換算には、一般的に金融機関が外貨を円に両替するときのレートを使う。

2025年36号(2025/10/2)

<タックスニュース>国税の申告・納付延長措置終了  能登半島地震被災地のすべてで

 国税庁はこのほど、「能登半島地震」で甚大な被害に見舞われた石川県の奥能登2市・2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)を対象に、昨年の震災発生直後から実施してきた国税に関する申告・納付の延長措置について、10月31日で終了すると告示した。昨年1月1日から今年10月30日までが申告・納付期限となっている国税が対象。昨年1月12日付の国税庁告示によって、石川県・富山県を納税地とする納税者に対して講じられていた特例措置は、これによりすべて終了することになる。厚生労働省も9月12日付で、労働保険料や障害者雇用納付金などの申告・納期限の延長措置について、10月31日で終了すると告示している。

 国税庁では「この期日以降においても、能登半島地震による災害等により申告・納付等ができない方については、所轄税務署長に対して個別に申請することにより、申告・納付等の期限の延長措置を受けることができますので、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署にご相談ください」としている。

 また厚労省では、この期限までに労働保険料などを納めることが困難な事業主に対して「申請によって納付が猶予される場合がある」としている。石川県労働局や被災地域を管轄する所轄の労働基準監督署、または高齢・障害・求職者雇用支援機構に問い合わせのうえ申請する。対象となるのは、昨年1月1日から今年10月30日までが申告・納期限となっている労働保険料、一般拠出金および障害者雇用納付金。

<タックスワンポイント>損害賠償金は経費になる? 社員の交通事故  会社に過失なければすべて計上可能

 社員が配送中に居眠り運転で交通事故を起こしてしまい、会社が損害賠償金を支払うことになった場合、この賠償金は原則として全額を会社の経費にできる。できないとすれば、休憩時間も代替人員も与えずに連続で運転をさせたなど、事業主に故意または重大な過失があるケースだ。そうした重大な過失がない限り、支払った賠償金は必要経費となる。なお、問われるのは事業主の過失であり、従業員自身に重大な過失があったか否かは問わない。また事故が直接業務に関連しないものでも、事故を起こしたのが家族従業員以外の人で、雇用主の立場上やむを得ず負担したものは、事業上の必要経費にできる。

 ただ、会社としては余計な出費が増えたのは事実。そこで事故を起こした社員の責任に応じて、損害賠償金の一部を本人に負担してもらうことを考えるかもしれない。これは法律上、可能ではある。ただ事業主は社員の労働によって利益を得ている以上、社員のミスもある程度カバーすべきという考え方があるため、よほど大きな過失がない限り請求は認められない傾向にあることには留意したい。

 逆に、社員が交通事故の被害者となって、損害賠償金を受け取る場合、会社が受け取る損害賠償金は、その事故に故意や過失があったか否かにかかわらず、全額が事業主の収益(益金)となる。

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