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2026年新年号(2026/1/8)

<タックスニュース>相続税の税務調査  追徴税額が過去最高

 相続税の税務調査による追徴税額が過去最高となったことがわかった。実地調査に加えて、書面・電話での連絡や来署依頼にもとづき納税者と接触を図る「簡易な接触」がコロナ禍前の2倍に増え、追徴税額の増加につながったとみられる。相続税は申告件数に対して実地調査に至る割合がほかの税目と比べて高いため、準備不足が思わぬ税負担の増加につながる可能性がある。国税当局が常に不正に目を光らせていることからも、相続税調査の最新の傾向を確認しておきたい。

 国税庁がこのほど発表した2024事務年度(24年7月~25年6月)の「相続税の調査等の状況」によると、相続税の本税・加算税を合わせた追徴税額は、実地調査が前年度比12.2%増の824億円、簡易な接触が同13%増の138億円で合計962億円となり、簡易な接触の事績の公表を始めた16年度以降で最高となった。実地調査の申告漏れ課税価格は同7.2%増の2942億円、1件当たりの申告漏れ課税価格は同3.6%減の3093万円、その追徴税額は同0.9%増の867万円だった。

 実地調査件数は9512件で、前年度の8556件から11.2%増えたものの、コロナ禍前の18年度の1万2463件と比べると31%少ない。一方、簡易な接触は同1万8781件より17%増えた2万1969件で過去最高となった。1万332件だった18年度と比較すると2.1倍となる。18年度当時は実地調査の件数が簡易な接触の件数を上回っていたが、今では完全に逆転し、調査手法が様変わりしている実態がみてとれる。

 簡易な接触は、税務調査の"効率化"を図る国税当局の姿勢を象徴的に示す調査手法といえるだろう。申告が必要と思われる納税者や計算誤りなどがあるとみられる納税者に対して行われている。国税当局が納税者との直接的な接触を避けていたコロナ禍に、実地調査の減少分の穴埋め策として簡易な接触は多用されてきた。だが、いまだに件数が減少するどころか、むしろ増加している。

 簡易な接触がきっかけで発覚した申告漏れなどの非違は前年度の5079件から14.1%増えて5796件発覚している。申告漏れ課税価額は同954億円から17.8%増の1123億円、追徴税額は同122億円から13%増えて138億円。いずれも16年度以降で最高額となり、国税当局の"武器"として完全に定着したことがうかがえる。簡易な接触を多用することで、大口・悪質な事案を絞り込んで深度のある実地調査を行えるようになったほか、大口・悪質な事案以外にも効果的に対応できるようになり、相乗効果で追徴税額を押し上げたとみられる。

 ほかの税目では、AIを活用した調査が定着してきているが、相続税の調査はこれから活用が本格化する。23年度以降に発生した相続事案からAIを活用して調査事案を選定しているものの、これをもとにして実地調査を行うのは、25年度からだという。法人税や所得税などの調査では、AIによるデータ分析などが調査の効率化につながっているとみられるため、国税当局は「相続税でも簡易な接触とあわせ、効率化につながるのではないか」と目論む。

 相続税の場合、税務調査が入れば高い確率で申告漏れが指摘される。実地調査9512件のうち、申告漏れなどの非違があった件数は7826件で、非違割合は82.3%となっている。簡易な接触に加え、AIの活用で今後、調査官がさらに効率的で深度のある調査をするようになる可能性がある。相続を予定しているひとは、申告時に現金や預貯金などの相続財産の把握漏れがないかをきちんと確認するなど、事前の備えを万全にしておきたい。

<タックスワンポイント>有姿除却で古い機械を損金算入  不使用が確実ならソフトも可

 製造業に限らず、企業は常に設備を新しいものに整え、発注者のニーズに応えていかなくてはならない。そのために金融機関から融資を受け、お金をまわし、利息をつけて返済する。ただ設備投資をしたところで、常に古くなった設備を適切に処理できることばかりではない。都合よく下取りに出せるとは限らず、また廃棄にはそれなりの費用もかかるため、どうしても「そのまま置いている」ということもある。

 こうした際に、「有姿除却」という制度を覚えておきたい。これは読んで字のごとく「姿があっても除却したと同じこと」という意味で、その固定資産の帳簿価額から処分見込価額を控除した残額を、事実が生じた日の属する事業年度の「除却損」として損金額に算入できる仕組みだ。資金の支出を伴わない経費であるため、節税になる。

 有姿除却は、生産効率を上げるために最新設備を導入した際に、廃棄していない古い資産の使用を廃止する制度だ。そのため、今後、通常の方法により事業で使う可能性がないと認められるものだけが該当する。重要なことは、当該資産が将来使用される可能性が絶対にないということを立証できるかで、ここが税務調査でも突かれやすい点となっている。外形からは判断が難しいものであれば、新規設備を導入した経緯や除却したときの見積書などの書類を残しておいたほうがいいだろう。

 また、ソフトウエアについても同じ考え方ができる。物理的な除却、廃棄、消滅等がなくても、今後事業に使わない明白な事実があれば、ソフトウエアの帳簿価額から処分見込価額を控除した残額を損金額に算入できる。

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