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2025年33号(2025/9/11)

<タックスニュース>国税庁 概算要求6340億円   人件費が86.5%占める

 国税庁は8月29日、2026年度予算の概算要求と、機構・定員についての要求をまとめた。一般会計の概算要求額は25年度当初予算額と比べて0.3%減となる6340億3千万円とした。定員は682人の増員を求める一方で、合理化目標数が552人とされていることから、純増要求数は130人となっている。25年度末時点での国税庁の定員は5万6018人。機構要求では、「インボイス制度の円滑な実施および制度の定着」「消費税不正還付事案への厳正な対応」を図るための体制整備などを求めている。

 一般会計の概算要求額は25年度比0.3%減の6340億3千万円。このうち「人件費」は同1.4%減の5485億9100万円で、全体の86.5%を占めている。

 一般経費は854億3900万円で、このうち「職場環境整備・安全対策経費」を25年度比34.4%増の99億4100万円、「酒類業振興事業経費」を同71.5%増の36億8800万円として大幅に増額する一方、「税制改正関係経費」は同44.7%減の16億6千万円、「税務大学校経費」は同4.3%減の18億1300万円に減らした。

 一般経費の大部分を占める「庁局署一般経費」は25年度比5.3%増の630億5300万円を計上。米国関税措置への対応強化と、酒米不足・価格高騰に対応した酒蔵支援強化に必要な経費については「事項要求」とした。

 定員は「インボイス制度の円滑な実施および制度の定着」「消費税不正還付事案への厳正な対応」などを強化するため682人の増員を要求。合理化目標数552人との増減を合計すると純増員数は130人となる見通し。

 機構要求では、「定年引上げに伴う最適な職場環境の整備」のため国税庁に「監督評価事務専門官(仮称)」「監察事務専門官(同)」のポストを新設する。また、「更なる酒類業振興等のための体制整備」を図るため国税庁に「酒類企画官(同)」を置く。加えて「グローバル・ミニマム課税への対応」として東京国税局に「国際機動課(同)」を設置するほか、「業務センター室拡充への対応」として関信・東京・名古屋・大阪の各国税局に「特別国税管理官(同)」を配置する。

<タックスワンポイント>贈与税がかからない火災保険  負担者が別だと生保では税負担

 生命保険料控除や損害保険料控除といえば年末調整や確定申告での定番の所得控除だが、同じ保険とはいえ生命保険と火災保険では、課税関係に似て非なる部分も多い。

 生命保険金の受け取りは、満期到来時や死亡時があるが、どちらも保険料の負担者と保険金受取人が同一であれば所得税が課される。一方、保険料負担者と保険金の受取人が異なり、かつ保険料負担者が生きている場合は、贈与税の課税対象だ。保険料負担者の死亡によって保険金が支払われる際は相続税がかかる。誰が保険料負担者であるかが重要であるため、名義を無視して生命保険料控除をしていると、後で面倒なことになりやすい。

 一方の火災保険では、妻が所有する居宅の火災保険料を夫が負担していて、火災によって妻が保険金を受け取った場合でも、受領した火災保険金は贈与税の対象とはならない。相続税や贈与税の対象になる損害保険金は死亡を原因として支払われるものに限られているからだ。さらに所得税についても、失った財産を保険金でカバーしただけという考えにより、非課税扱いとなる。

2025年32号(2025/9/4)

<タックスニュース>「地方税制のあり方」で検討会  東京一極集中による税収の偏在

 総務省は8月21日、「地方税制のあり方に関する検討会」を開催し、地方関係4団体と経済2団体から意見聴取した。また、ヒアリングに応じた6団体が提出した資料も同日公表した。地方団体からは「東京一極集中」による税収偏在の是正を求める意見が相次いだ。

 全国知事会の資料では、「東京一極集中が続き行政サービスの地域間格差が顕在化するなか、拡大しつつある地方団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組むべきである」としたうえで、「地方全体の財源を充実させ、税収全体のパイを拡大させる視点が何より重要」であると主張している。

 全国市長会は、「地方消費税を都市自治体の基幹税として位置付けるなど税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築すること」「地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、まずは、税源移譲による国・地方の税源配分『5:5』の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること」などを求める内容を盛り込んだ資料を提出した。全国町村会は「偏在性の小さい安定的な地方税体系の構築や地方交付税の安定的確保等により、地方の自主財源を拡充し、町村の財政基盤を強化することが不可欠である」として、地方交付税が町村の財政基盤であると強調。指定都市市長会は「東京都と指定都市平均で格差が生じており、税目別で見ると、特に法人住民税について格差が大きい」として、「国・地方間の税源配分の是正」によって法人住民税の配分割合を拡充するよう求めている。

 経済団体からは、日本経済団体連合会が基本的な考え方として「都道府県より広域のブロックとして『道州圏域』を一つの仮想単位(区割りは設けない)とし、バーチャルな道州圏域ごとに大胆な独自施策を実行できるための仕組みを柔軟に推進」するべきだと主張したほか、情報サービス産業協会からは「情報サービス企業が東京に集中している要因」についての資料が提出された。同協会では、企業経営とIT人材確保の両面から、東京に集中せざるを得ない現状を分析したうえで、クラウドとAIの進展が今後の状況変化に影響を与える可能性についても指摘している。

<タックスワンポイント>居住か事業か 扱いが変わる消費税  家賃にかかる税の注意点

 賃貸物件にはアパート、店舗、事務所、倉庫などさまざまなものがあるが、どれも入居者がオーナーに賃料を支払うという点は変わらない。しかし税務の観点からみると、その物件が「居住用」か「事業用」かで、取り扱いは大きく変わる。

 物件が、店舗や事務所など業務用であれば、入居者がオーナーに払う家賃には、必ず消費税が含まれる。家賃だけでなく、管理費、共益費、礼金のすべてに消費税がかかる。一方、居住用のアパートやマンションの入居者が支払う家賃には、消費税が含まれない。管理費、共益費、礼金も同様で、「ただそこに住むだけ」なら収益が発生しないので消費税の担税力がないというのが理由となっている。

 しかし居住用物件であっても、入居者が払うお金すべてが消費税を含まないかというと、そうではない。駐車場代、インターネット料金、鍵の交換代など、入居者が設備を利用したりサービスを受けたりするようなものについては消費税を含んだ料金を支払う必要がある。

 賃貸オーナーが入居者から受け取るお金で気を付けたいのは、中途解約の違約金だ。契約期間の途中で入居者から解約の申し入れがあれば、オーナーは中途解約の違約金として数カ月分の家賃相当額を入居者から受け取ることがある。この違約金については、性質としては「損害賠償金」となり、消費税がかからない。一方、立退時の原状回復工事に、入居時に預かった保証金の一部を充てることがあるが、オーナーが原状回復工事をすることは入居者に対する役務の提供に当たるので、工事費に相当する金額には消費税が課される。

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